権利侵害

第1 権利侵害の類型

1 名誉棄損

2 名誉感情

3 プライバシー

4 肖像権

5 営業権

6 知的財産権等

7 リベンジポルノ

8 不正競争防止法

第2 類型ごとの要件

1 名誉棄損

(1)要件

ア 同定可能性があること

イ 権利侵害の明白性があること

(2)同定可能性

ア 原則,一般人と注意と読み方に照らして,当該記事を解釈すると特定の人物を指すかどうかで判断します。判断にあたっては,伝搬性の理論の適用があります。

イ 伝播性の理論

①文脈や本人を示唆する情報による特定(スレッド全体や関連記事含む)

背景事情を知っていること等により対象者を特定できる者がいる場合,その者から不特定多数に伝わる可能性があれば対象者の同定が認められる。(東京地裁平成28年10月4日)

②特定の程度 複数人にたどり着いては特定×

③実名がわからなくとも「あの人」と分かれば特定〇

④源氏名でもまさに「その人」だから〇

⑤インターネット上の人格の社会的評価が毀損されたに過ぎない場合には,社会的活動の内容で判断する

(3)権利侵害の明白性

ア 保護法益 社会的評価(他の人からどう思われるかの問題 )

イ 判断方法

(ア)適示内容の特定

まずは適示されている事実がどのようなものかを確定します。

①「一般読者の普通の注意と読み方」(最判平成24年3月23)で判断する。

②一般読者は,当該表現が掲載された媒体の種類を考慮する

③読者が判断できるかで意味内容を特定

④他の読者の反応から適示内容を確定することも考えられる。

⑤適示内容はスレッドとの関係を考慮する

(イ)なお,事実が適示されているようでも意見論評に過ぎない場合もあります。

「事実」を述べているのか「意見」を表明しているにすぎないかですが,証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項かどうか (最判平成10年1月30日)で判断します。一般読者基準で判断します。文脈によって変わりえます。

(ウ)このように適示されている事実(ないし意見論評)が社会的評価を低減させつかについて判断します。

ウ (ア)社会的評価の低下

適示により社会的評価が低下したか否かは,一般的基準説,すなわち,「ある記事の意味内容が他人の社会的評価を低下させるものであるかどうかは,一般の読者の普通の注意と読み方を基準として判断すべきものである」(最判平成24年3月23)

(イ)違法性阻却事由

事実適示型 ①公共の利害がないこと,②公益目的がないこと,③事実の重要部分が真実でないこと(それぞれorの関係)

意見論評型 ①公共の利害がないこと,②公益目的がないこと,③前提事実の重要部分が真実でないこと,④人身攻撃など意見論評の域を逸脱していること(それぞれorの関係)

2 名誉感情

(1)要件

名誉感情(主観的なもの)侵害が社会通念上許容される限度を超えること

(2)対象者本人に伝達されること(その意味では同定可能性)

(3)社会通念上許容される限度を超えること

ア 用いられる文言の侮蔑性

イ 具体性・根拠

ウ 回数

エ 対象者の地位等

オ 書き込み者の目的 等