発信者情報開示

・投稿者を特定する手続きです。

・遅くとも書き込みから1カ月以内に手続に着手する必要があります。

・通常,2段階のステップを踏みます。

・書き込みがなされた掲示板の管理者(通常サイト内に記載あり)に対して,IPアドレス(ネットワーク上の住所),タイムスタンプ等の開示仮処分申し立てします。サイト管理者が不明な場合,サーバ管理者に対して仮処分を申し立てます。サーバー管理者は,ドメイン名を正引きして判明したIPアドレスをWHOIS検索します。

・開示されたIPアドレスからプロバイダをWHOIS検索します。

・プロバイダに対し訴訟を提起し,発信者情報(書き込み者の住所や名前)の開示を受けます。

・開示されたら,申立てを取り下げて,担保金を戻してもらう手続きをします。

・なぜ,2段階の開示請求を行う必要があるのかについてです。匿名掲示板管理者側では,書き込み者の住所や氏名を通常把握しておりません。把握しているのは,書き込んだ者のIPアドレス,投稿時間等です。そこで,今度はプロバイダに対し,この時間にこのIPアドレスを使っているのは誰か,という開示を求める必要があるのです。

・ここでIPアドレスについて,もう少し説明しておきます。IPアドレスとは,ネットワーク上の住所の事です。住所なので,ネットワーク上に同じIPアドレスはありません。インターネットに接続する際,必ず固有なIPアドレスが端末に割り振られます。もっとも,インターネットに接続する際,以前にネットワークに接続した際に割り振られたものと同じIPアドレスが割り振られるかというとそうではありません。インターネットに接続する際にプロバイダが空いているIPアドレスを割り振ってます(これを動的IPアドレスといいます。)。なぜ,こんなことをするかというと,IPが枯渇するのを防ぐためです。IPアドレスは,32ビット(IPv4で2進数32桁)の数値で表されますので,2の32乗個約43億個が上限です。世界中の人がインターネットを利用している状況下で,IPアドレスが足りなくなっております。仮処分の段階でIPアドレスだけでなく,書き込みの日時(これをタイムスタンプといいます。)の開示を求めるのもこのような理由からです。

 

 

・仮処分申し立てに必要な書類等は次の通りです。

〇仮処分申立書

被保全権利として,権利侵害の明白性があること(同定可能性を含む),相手方債務者(サイトの管理者のこと)が開示関係役務提供者にあたること(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条1号)を記載します。

保全の必要性として,プロバイダのログが3カ月程度で消去されてしまうことを記載します。

疎明資料として,サイト管理者が記載されているページとスクリーンショット,投稿のスクリーンショット,債権者(書き込まれた本人)の陳述書を添付致します。

債務者が同じであれば,複数投稿まとめて仮処分が可能です(ただし,担保金が上がる可能性があります)。

〇印紙

〇資格証明書

管理者が海外法人の場合,海外から資格証明書を取得していると,プロバイダが保管しているログが削除されてしまう恐れがあります。資格証明書を販売しているサイトから購入するのが良いでしょう。

〇担保金

10万~

供託金は,裁判所から口頭で連絡があります。登記ねっとを利用すると便利です。

また,供託する際に事件番号だけでなく事件名も必要になりますので。事前に裁判所に確認しておく必要があります。

〇第三者供託上申

代理人が供託する場合,第三者供託上申を出しておきます。

〇管轄上申

掲示板管理者が海外の場合,「日本居住者を対象としてインターネットサービスを提供しており,「日本国内において事業を行う者」として,民事保全法11条,民事訴訟法3条の3第5号,同法10条の2及び民事訴訟規則6条の2により,御庁に管轄がある。」旨の管轄上申を出しておきます。

・仮処分を得てIPアドレスが開示されたら,プロバイダを見つけるために,WHOIS検索をします。

・WHOISとは,インターネット上でのドメイン名等を検索するためのプロトコルです。開示されたIPアドレスをWHOIS検索すると,そのアドレスの管理者(多くプロバイダ)が判明します。次の,そのプロバイダに対して発信者情報開示請求訴訟を行います。なお,テレサ書式を用いた任意開示の方法もありますが,プロバイダが任意に開示することはほぼありません。

・発信者情報開示請求訴訟に必要な書類は次の通りです。

〇訴状

被告が特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下、「プロバイダ責任制限法」という)4条1項の「開示役務提供者」に該当すること,権利侵害の明白性があること(プロバイダ責任制限法4条1項1号),原告に発信者情報の開示を求める正当な理由があること(プロバイダ責任制限法4条1項2号),被告が契約者情報として,氏名・住所なのど各情報を保有していることを記載します。

〇証拠関係

プロバイダの資格証明書,スクリーンショット,WHOIS検索の結果

〇印紙・郵券

訴額は160万円です。被告が同じである限り,開示を求める対象記事が複数でも160万円です。

〇資格証明書